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壊れた急須

 「琴絵は、お茶飲みじゃのう」 煎茶を好む娘に父は良く言った。 仕事の日は、毎朝、目覚めに煎茶をいただく。 お気に入りの桜模様の急須が、今朝、割れてしまった。 夜になって壊れた急須を見て、この急須で入れたお茶で元気に日々を過ごせたことを思い出す。 物に溢れた現代社会だけど、世界にひとつしかない大切な物が、目の前にある。その物が壊れてしまい、手放さなければならない状況が起きた時、こんな気持ちになるのだと改めて事態を受け止めている。 明日は、どんな日になるのかなぁ…。

優しい眼差し

 挨拶を交わす活気ある表情を見て、今日も1日頑張ろうと思う。 はじまりは、日常の会話で心和ませ穏やかな時が流れる。 報告や連絡相談も真剣な眼差しで、前向きに行動ができる。 いつも「ありがとうございます。」 そう言って、感謝の気持ちを忘れない。 そんな、仲間が好きです。 目の前の大切な人を優しく見守る眼差しが、誰かを幸福に導いているのかもしれない。

スリーピングビューティー

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 冬の間、硬く小さな蕾だったハナミズキの花が、日に日に開花している光景を目にしています。 花びらは4枚。 だけど… いろんなカラーが集まると 華やかなイマジネーションに変わります。 空を見上げ、素敵な時間を過ごしたら、 きっと新しい道が開けるよ。 ※写真はインターネットから引用させていただきました。

笑顔

大きな声で、不穏な表情です。 「助けて〜。弱った、困った、どうしよう。」 車椅子にお座りの年長者様が言いました。  「どうされました?」 「動けない。あー弱った。どうしよう。困った。」 年長者様は、これまでご自身で出来ていたことが出来なくなり、途方に暮れているのです。 「〇〇さんは、これまで沢山ご活躍されてきました。今はお身体を労り、少しゆっくりとお過ごしください。お困りのことはお手伝いさせていただきます。」 「そうか。」 すると、パッと笑顔になるのです。 「兄弟仲良く親孝行。」 そう言って、何度も何度も私に教訓を教えて下さるのでした。

現実逃避

セーラー服を着る前に派閥にあった。 信頼していた仲間が仲違いを起こし、仲裁に入った事が原因である。 あっと言う間にグループができ、いつの日か私はクラスの女子グループから外された。 トイレの前で待ち伏せした女子グループの中心となる子は「帰りに話しがあるから体育館に来て。」と告げた。 怖かった。逃げたかった。帰りたかった。 数人の女子に囲まれて、恐怖で何を言われたのか覚えていない。 派閥はエスカレートした。 学校が嫌いになる。 勉強どころじゃない。 両親に話せる訳がない。 担任の先生に「お腹が痛いから保健室に行かせてください。」と訴える。 先生は冷たかった。 先生が嫌いになる。 過換気症候群で倒れた。 原因不明と言う曖昧な診断で入院した。 大人達は、不祥事を知りながらも知らんぷり。 無視し続けた女子がマスコットを作り、見舞いに来た。 嬉しかった。 だけど、心の傷は治らない。 仲間はずれやいじめは、いじめられる側にも問題があるのかもしれない。 だけど私は、何も恥じる生き方はしていない。 一人、独り、孤り。 ひとりで居る時間の方が幸せなこともある。 気ままに歩く道。 行きずりの人達がもたらしてくれる幸福。 「ありがとうございます。」 いつも助けてくださる方々へ、感謝の気持ちでいっぱいです。 パステルカラーのコートを脱ぎ、小鳥のさえずりやSLの汽笛を聞きながら、目の前にいる未来ある命を我が身に置き変えて。 シロツメグサ・イヌムギ・セイヨウタンポポ の上を元気に走り廻る子供達。 優しいママの母掛け。 気遣うパパ。 そんな穏やかな時があったんだ。 列車の車輪が線路を擦る音。 お弁当を囲む家族に近づく翼を大きく広げたトビ。 「あっ、お弁当が・・・。」 南東の風が、サトザクラやソメイヨシノの花びらを運び、緑色のじゅうたんはあっという間に薄桃色のステージとなった。

春爛漫

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「今日は、暖かいですよね。」 そんな会話をしている日常となりました。 暗い部屋に灯りをつけカーテンを開け、お弁当と朝食を作り、今日も誰かの為にお役に立てるなら、嬉しく思います。 お気に入りの本を鞄に入れ、行ってきます。 仕事が早く終われば、咲き誇る花を求め足取りも軽やかに。 太陽と北風の物語り 太陽は人の心を解放してくれます。 引きこもりなんて、もったいない。 みんな、出ておいで! 鴨川のつくしも元気に出てきています。 桜の塩漬けを浮かべた焼酎のお湯割りは ちょっぴり大人の味かしら?

介護日誌⑤

 2014年1月13日月曜日  スカイブルーの晴天・聖夜 起床してゴミ捨てに行った。 お父さん起きてこなくてちょっと心配。 8時過ぎ 「よう寝た。5時に目が覚めちまた寝入ったんじゃ。」 父は、いつものラジオ体操をしてから、モコモコの上着を重ねリラックマみたいになってお決まりの散歩(ウォーキング)に出掛けた。 父が戻ってくるまでに朝食を作ろう。 今日は、じゃがいもの味噌汁、旨く出来た! さぁ、洗濯。お天気良いから衣類とシーツ洗って、お風呂掃除。 「お父さん、お風呂の窓開けて換気してくれてる。」 ほっと一息。知らぬ間にウトウト寝てしまう。 お父さん何してる? 「ことちゃん、端を持っちょくれ。」 自分用の寝具のメンテナンスで、シーツと毛布を木綿糸で縫い付けている。 父はとても几帳面で、お裁縫は得意な方。 「お父さん、お昼ご飯、親子丼でいい?」 私は、昨夜の残りの大根と黒豆でいいか。 名古屋の叔父さんから、長女に大学の入学祝いが届いていて、お礼の電話をする。 「おじちゃん、入学祝いありがとう・・・。お母さん、足を骨折して手術したの・・・。」 「お姉ちゃんによろしく伝えて・・・。」 母には、たった一人の弟がいる。 私の叔父だが、母と並ぶ尊敬すべき人である。 午後から、永遠と近くの住宅地を散歩した。給水タンクが設置された小さなお山を目指して歩く。結構急坂だけど、永遠は元気よく歩いている。山頂と言う程ではないが、頂上まで着くと、とても見晴らしがよくて向陽台を一望でき、太陽の光を反射した瀬戸内の海が見渡せる。 「永遠くん、ひなたぼっこして行こうか。」 私のように、まったりくつろぐことが出来ない永遠は、辺りの草を後ろ足で蹴ってみたりウロウロしてみたりと、犬の行動に慣れない私は、戸惑いながらも面白い愉快な時間を過ごしていた。 「永遠、そろそろ帰ろうか。」 実家に戻り、溜まったメールの返信をしたり、洗濯物を畳んだりしていると、母の病院から戻った姉が、着替えを済ませた母の洗濯物を持ち帰り、夕飯の食材を買ってきてくれた。 「お母さん、『ことえちゃん来ないの?』って言ってたよ。」 心配だけど、毎日毎日病院通いは辛くて・・・ 台所に立つ姉に、「ありがとう」とだけ伝えて、父と3人でお鍋の夕食を済ませた。 1日の終わり、満天の星を見ながら夫に、今日の出来事の報告の電話をして就寝した。