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浄土へのお見送り

お棺に納められた父の亡骸は、はじめて見る痩せ細った姿であった。 激動の時を過ごしてきた日々と、受入れがたい事実の中で、今は目の前で起きている事実だけに向き合う事に務めた。 「お父さん、浄土へ道に迷わず、お母さんの所へ行ってね。」 絶やさぬ火に念じながら、一夜を過ごした。 出棺の時、父は母がこよなく愛した蘭やカサブランカを胸に抱き、お棺の蓋が閉じられた。 霊柩車が出棺する時のクラクションの音は、更に父の死を受け入れるタイミングとなった。 霊柩車は海の見える物静かな道を走る。 スケジュール通りに用意された部屋で、父の亡骸に点火する。 シルクロードが流れる収骨室で、変わり果てた父の姿を目にし、これで父との二人三脚が完全に終わったと確信した。 今、私が見ている遺影はいつも前向きに生きた父と母の姿である。 お父さん、お母さん、育ててくれてありがとう。 喜多郎:シルクロード https://www.youtube.com/watch?v=oU7JWTtJaL4