現実逃避
セーラー服を着る前に派閥にあった。 信頼していた仲間が仲違いを起こし、仲裁に入った事が原因である。 あっと言う間にグループができ、いつの日か私はクラスの女子グループから外された。 トイレの前で待ち伏せした女子グループの中心となる子は「帰りに話しがあるから体育館に来て。」と告げた。 怖かった。逃げたかった。帰りたかった。 数人の女子に囲まれて、恐怖で何を言われたのか覚えていない。 派閥はエスカレートした。 学校が嫌いになる。 勉強どころじゃない。 両親に話せる訳がない。 担任の先生に「お腹が痛いから保健室に行かせてください。」と訴える。 先生は冷たかった。 先生が嫌いになる。 過換気症候群で倒れた。 原因不明と言う曖昧な診断で入院した。 大人達は、不祥事を知りながらも知らんぷり。 無視し続けた女子がマスコットを作り、見舞いに来た。 嬉しかった。 だけど、心の傷は治らない。 仲間はずれやいじめは、いじめられる側にも問題があるのかもしれない。 だけど私は、何も恥じる生き方はしていない。 一人、独り、孤り。 ひとりで居る時間の方が幸せなこともある。 気ままに歩く道。 行きずりの人達がもたらしてくれる幸福。 「ありがとうございます。」 いつも助けてくださる方々へ、感謝の気持ちでいっぱいです。 パステルカラーのコートを脱ぎ、小鳥のさえずりやSLの汽笛を聞きながら、目の前にいる未来ある命を我が身に置き変えて。 シロツメグサ・イヌムギ・セイヨウタンポポ の上を元気に走り廻る子供達。 優しいママの母掛け。 気遣うパパ。 そんな穏やかな時があったんだ。 列車の車輪が線路を擦る音。 お弁当を囲む家族に近づく翼を大きく広げたトビ。 「あっ、お弁当が・・・。」 南東の風が、サトザクラやソメイヨシノの花びらを運び、緑色のじゅうたんはあっという間に薄桃色のステージとなった。