過ぎたるは猶及ばざるが如し
洗濯物を干しながら、ベランダから見える大原野の山々を眺めて、植物達も綺麗に色付いてきたななんて考えていると嬉しくなります。 「お母さん、ちょっとバイクで走ってくる。」 小塩山はすぐそこ。 ツーリングという程の距離ではないが、日常の合間に作った余暇は今の私には至福の時間である。 防寒で重ね着した体はトレッキングに不向きである。 プロテクター入りのライダースジャケットを残し情緒を堪能する。 更に紅葉が進むであろう落葉樹は、今の私を十二分に楽しませてくれた。 私と同じ年代の女性は皆、パートナーとこの時を謳歌しているようで微笑ましかった。 仕事や家事育児に大半の時間を費やしている時は、子供達が大きくなったらパパと二人でいろんな所へ行きたいな。お休みの日はゆっくり映画や歌劇を見たいな。そんな事を考えながら日々頑張って来た。 理想と現実が大きく離れ、いつからか一人で行動する事が当たり前になっていた。 趣味を活かせる贅沢な時間だとも思い、神社を参拝した。 紋付羽織袴に色打掛の花嫁衣装 結い髪には色とりどりの花や和細工が飾られ、色白の花嫁さんを引き立てている。 綺麗な花嫁さんから目が離せなくて見惚れてしまった。私も母の様な花嫁姿で、思い出と記念写真を残したかったなぁなんて、今となっては・・・。 新郎新婦が笑顔で参拝され、真新しい御朱印帳を手にしている光景を目にし、これから先のお二人が歩く道が、この御朱印帳によって幸福を齎して下さるのだろうと、自分勝手な解釈をしていた。 入れ替わり、七五三のお参りに訪れた家族連れは、記念写真を何枚も収め、本殿を参拝されていた。 御祈祷で子達に神様の御加護がいただけます様にと願う母の気持ちは、きっと皆、同じなんだろう。 紫式部が故郷の都を想って詠んだ歌にある、神聖な小塩山を、私も故郷としての想いがあってもいいだろうと情緒に暮れる日でありました。