みんな家族
自由にひとりで歩けるようになった子が 玄関からソファーに駆け寄り 「にゃぁにゃぁ?」 指差すその先に、愛猫の大我はいない。 「ひなちゃん、もう、にゃぁにゃぁいないの。」 「ひなちゃん、たいが、ここにいるよ。」 小さな骨壷に入った大我の亡骸を見て 「………。」 おばあちゃんのおうちにいて当たり前のにゃんこがいない…。 「お母さん、大我、居なくなって、寂しいね。」 華ちゃんが南白小学校の時、同級生が近くの公園で保護した子猫が飼えないからって、引き取って里親になったんだよね。 のんちゃんもまだ2才で、きょうだいみたいに育って。 お母さん。男の子が生まれたら大我って名前にしたくて…。 華が、生まれた時は、じょじょがいて じょじょが側にいたら、すぐに泣きやんだ。 はいはい出来るようになったら、じょじょのこと、追いかけて遊んでたよね。 はなちゃん、じょじょが好きで、ぎゅーぎゅーってして、じょじょ、おとなしく寝転んでたんだよ。 はなちゃんと、じょじょと、ハムスターのあっちちゃんとそっちちゃんと、いつも一緒に遊んでたよね。 大我も、のんちゃんには優しかったよね。 きっと、妹って思ってたのかな。 「お母さん、もう猫、飼わないの?」 「………。」 お母さん、ひとりぼっちになるって、こんな気持ちなんだね。