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壊れた急須

 「琴絵は、お茶飲みじゃのう」 煎茶を好む娘に父は良く言った。 仕事の日は、毎朝、目覚めに煎茶をいただく。 お気に入りの桜模様の急須が、今朝、割れてしまった。 夜になって壊れた急須を見て、この急須で入れたお茶で元気に日々を過ごせたことを思い出す。 物に溢れた現代社会だけど、世界にひとつしかない大切な物が、目の前にある。その物が壊れてしまい、手放さなければならない状況が起きた時、こんな気持ちになるのだと改めて事態を受け止めている。 明日は、どんな日になるのかなぁ…。