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救い主

 2019年5月16日〜17日 精神科病棟生活60日目。 義母の葬儀から京都の自宅に戻り家事を済ませ、夕方滞在先の精神科へ帰院した。 気の合う仲間達(患者様)が、「おかえり〜、おつかれさん。」など声を掛けてくれた。 必要最小限の挨拶を交わし、ひとりの時間が楽で病室に引きこもった。唯一の娯楽の動画も観る気力がなく、病床に伏せた。 翌朝、担当医が訪室し「大変でしたね。ご主人と喧嘩をすることは無かった?」など、険悪な関係でのイベントの時間を気遣って下さった。 入院当初は、誤診している藪医者だと涙する日々だった。しかしこの頃の私は、そんな藪医者が労いの声掛けや今後の方針について、患者の意向に耳を傾けて本気で患者と向き合って、本当の私を見つけてくれた主治医だと感謝していた。 この日は、疲労感が強く終日病床で過ごした。 昼食を病室で済ませ頃、同室で良く一緒に公園へ散歩へ行ったTさんがお見舞いに来てくれた。 彼女との会話の大半は、愛するご主人様との出来事や愛犬との様子などが多かった。 そんな彼女はとても幸せそうで、一緒にいると私にも幸福がやって来そうだった。 だけど私は今、自分の置かれている状況を話す気にはなれず、病床で観たドラマや映画の話しをするのが精一杯だった。 彼女がとても良いアルバムだからと教えてくれた曲の中に、アンジェラ・アキさんのダリアという唄がある。 ♪  最初の愛を彩る思い出の花…  ♪ この時は、この唄の中に書かれている様な事態が起きるとは考えもしなかった。 実際に起きた事実や受け取った感情は、手帳には書ききれず、唯一持ち込みOKだったiPodの執筆のメモに残した。 そんな頃、インターネット犯罪がこんな事態になるとは思わなかったと…