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介護日誌④

2014年1月12日 晴天 「ことちゃん、じゃがいもの味噌汁を作っちょくれ。」 朝食に味噌汁を作る習慣のない私が、父の為に朝食を作る。昨日の疲れや、望まない生活のスタート。出来上がったじゃがいもの味噌汁の鍋を滑らせ、全て溢してしまう。 「お父さん、お豆腐の味噌汁でいい?」 「漬物を出しちょくれ。」 「お母さんが、梅干しを食べるといいって。」 「お母さん所に行っちくる。」 「さつまいものかりんとう作ったから、持って行って。」 手土産にかりんとうと新聞を持って、父は元気に母の待つ病院へ行った。 「永遠、おはよう。お散歩行こうか。」 寝てる永遠を起こしたら、キャンキャン鳴いてブルブル震えている。 「永遠、どうしたの?」 犬の気持ちがよく分からず、撫でてみたりおやつをあげてみたり。ドライフードを食べ終えた永遠は、またブルブルと震え出した。 お散歩用リードに変え、「永遠、行くよ。」 永遠の恐怖心を少しでも和らげたくて、永遠の思いのままお散歩に同行した。元気よく歩き、路肩の草を食べ、排泄をし、力強く私の事をリードしてくれている。母が元気なときは、母と一緒にお散歩していた永遠は、母と歩いたルートを私に教えてくれていた。「永遠、そろそろ帰ろう。」 母に面会してきた父は、私に心配事を愚痴にし、少し安堵した様子であった。 「お父さん、お昼ご飯ちらし寿司でいい。」 昼食を済ませて、母の元へ行った。 「お母さん、かりんとう美味しかった?」 父が持参したかりんとうを食し、満足気な母。車椅子の自走も出来る様になり、治療に前向きである。 「ことえちゃん、もう5時やけど帰らんでいいんかえ?」 「うん、そろそろ帰ろうかな。」 帰宅すると父は、永遠に餌をあげてくれていた。 勝手口から庭用のリードに繋がれた永遠に向かって、「永遠、よしよし、食え食え、よしよし。」と優しく語り掛けていた。永遠のお世話は、母に任せっきりだった父が変わる瞬間であった。 「お父さん、今夜は大根煮て食べようか。」