流れる体液と赤い痕跡

 真っ赤な色は止めて、、、

真っ赤な色は緊急事態を連想するから、自然と避けていたのでしょう。

パステルカラーが安心です。

「藤井くん、焦らず慌てず落ち着いて、手は早くね。」

先生、焦らないでください。

先生、私に当たらないでください。

「藤井くん、ガーゼカウントいくら?」

「380です。」

「洗浄しようか。チップに生食吸って、膿盆と吸引管ちょうだい。」

そんな先生とのオペは、やり甲斐がありました。

疲れたって思うより、ひとりのクライアントの命を救う事が出来て嬉しかったし、チームで働く仲間に支えられて幸福感を得られたから、子育てしながらも頑張れたんだろう。

開腹もマイクロも骨頭も開頭も、真っ赤な色が物語る。

傷ついたクライアントが、抑えきれない感情と向き合った時、心と体から真っ赤な体液が流れました。

先生、どうやったら、止血出来ますか?

モノポーラもバイポーラもハーモニックもアビテンもボルヒールも、全く効果がないみたい、、、。

執筆者:坂田琴絵


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