余暇を過ごす時間に

 子供達が巣立ったら、ひとりぼっちは淋しいよなぁ。。。

二十代の頃、そんな事を考えて良き伴侶と家庭を築いた。

こんなはずじゃなかったし、どうしてひとりぼっちになってしまったのか理解できない。

ただいま。

おかえり。

ごはんできてるよ、一緒に食べよう。

今日はどうだった。

私はね、こんな事があってね。

のんちゃん、お風呂入ろう。

片付けしておくよ。

洗濯物、畳むね。

のんちゃん寝かせてて。

はなちゃんの連絡帳、見といてね。

明日は、参観日だよ。

終末お休みだから、六本木ヒルズに映画見に行こうか。

肩を並べていろんな映画見たよな。

京都に引っ越し来て、パソコンの小さなスクリーンで、寄り添って映画を見たな。

そんな時があっただなんて、嘘みたいな日常を送っている。

辛くなったらいつも思う。

戦争を経験した年長者の方々は、大切にしていた家族と離れ離れになって、お国の為と洗脳されて、敵国と戦った。

正直、生きる為には無駄な仕事を強いられていたと思う。

非国民と、呼ばれるかもしれない。

戦争の時代を思えば、私は今とても幸せなんだろう。

ママ、おはよう。

あれ?ママの眉毛の間に線が入ってるよ。

今朝、鏡を見た時、小さな娘がそう言った時のことを思い出した。

救い主は、自分なんだろうな。


執筆者:坂田琴絵

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