兵士と過ごした時間…
「お願いだから帰らせて、私は騙されたの。」
本当はここで生活したくないんです。
あの子が私の本当の気持ちから目をそらしています。
もう私にはどうすることもできません。
病気扱いにされて、薬漬けになりました。
あの子は「母が少しでも穏やかに生活してくれたらいい。」と言って、動けないように縛りつけたり、薬を飲ませて私から自由を奪いました。
本当に、ここから逃げ出したいのです。
家族で団欒を築いたマイホームに帰りたいのです。
その事を言っているのに、みんな私の気持ちを阻止するのです。
「私が間違えているの?なんでそんな意地悪言うの?」
素直な気持ちを伝えているだけなのに、ご機嫌取りの使いの者が、あれやこれやと宥めます。
落ち着かないからと、鎮静剤を飲まされます。
望んでいない薬を飲まされたら、毒を飲まされたと勘違いをします。
本来の自分が違った自分として現れます。
すると、そんな私を見て周りは、右往左往と落ち着かなくなります。
そんな様子を見ていると、戦争の時代を思い出します。
普段、夢はあまり見ないけど、そんな日は怖い夢を多少は見ます。
昔の軍隊が出てきて嫌な思いをします。
怖い風貌の血だらけの兵士たちがいるのです。
血だらけになっている犬が這い回っているのです。
先生が私に語ってくださるのです。
だけど先生が私に語ることを、今は辞めて頂きたいのです。
私の心の中は今、不安な気持ちでいっぱいで、どんなお偉い先生であっても、その助言を聞い入れる事が出来ないのです。
先生がいなくなった時に、その必要性を感じる事ができると思います。
私の経歴の中で、何もなかったということはありません。
しかし、自分の口からは切り出しにくいこともあります。
先生がお調べになる必要はあります。
今になって考えることは多くあります。
先生は私の中にある対象物を訪ねられますが、私の中にいる畜生は、心的外傷を引き起こした兵士達なのです。
先生に問われると、口を閉ざしてくださいと言ってしまうのです。
なので私といる時間ではなく、一緒にはいないときにそのことについて調べて頂きたいのです。
辛い今が大切なのですから…
インテーク事例より
執筆者:坂田琴絵
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