桜の花が咲いています

ベット上で、ご自身では身体を動かせないのです。

唾液や痰が溜まって、声も出せなくなるのです。

息が苦しくなるのです。

辛くて苦しくて呼んでるのに、落ち着かないからと薬で鎮静されるのです。

「手を握って、寂しい。」と言いました。

固い布に被われた手は、これまでご活躍された人生を否定された様です。

固い暖かみの感じられない手に触れた時、素敵な笑顔を私にくださいました。

「桜の花が蕾になって、ピンク色に色付いていますよ。一緒にお花見に行きましょう。」

もっと嬉しそうに笑顔を返してくださるのです。

私も嬉しいです。

余命宣告された母をお花見アクティビティに連れて行った日を思い出します。

あれから、ずっと、花の写真を撮り続けています。

また、一緒に写真を見て下さいね。

執筆者:坂田琴絵





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