優しさあればやらなきゃならないことは自然とできる

海岸段丘から見る大海原はクリアなコバルトブルーで、子供の頃のように無邪気に綺麗な海へ飛び込みたいと思う。

海底の魚たちは、集団で泳いでいる。

天敵のいない水中で、仲間同士がバラバラにならず優雅に泳ぎ、水面に散りばめられた宝石のような太陽の反射が、更に情緒を育てくれるのだろう。

かりゆしの白浜にそっと埋めた宝石は、引き潮と共に大海原に帰って行く。

ブーゲンビリアの丘で、 "To Love You More"を口遊み、思いを信じて頑張ろうと将来像を描いた。

物語りを書いていれば「琴絵ちゃん、手伝って。」と母が呼び、食事の用意をしたり洗濯をしたりと家事を手伝った。

母は、勉強しなさいとはあまり言わなかったが、「本をたくさん読みなさい。」と、本棚一杯に童話や著名人の本を揃えてくれていた。

多読賞をもらった姉を褒め「琴絵ちゃんも本を読みなさいと。」と何度か言われるうちに、本棚に並べられた本たちが嫌になっていた。

だけど、"もちもちの木"のお話しは、何度も読み返したのを覚えている。

臆病で弱虫の5才の男の子が主人公。

夜が怖い豆太は、ひとりでトイレにも行けなかったが、おじいさんがピンチになって、夜の山へ出て、無我夢中でお医者様を呼びに行く、勇気ある男の子へと変わっていくお話しです。

怖がりの弱虫であれ、優しい心があれば良いと、おじいさんは豆太を褒めているのです。

振り返ればそんな学童期から、携わる人が笑顔になるシナリオ作りは始まっていたのでした。


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