理想と現実の狭間で
Nケースワーカーが、退院後の就労について《就労継続支援B型事業所》を紹介してくれました。
京町家の小さな作業場で、女性達が日々オリジナルの商品を創り出していて、七宝焼き、つまみ細工、縫製、髪飾りといったものづくりで、沢山の工程があり、細かな技術と集中力を要するとの事でした。
物作りが好きな私としては、そんな紹介を真剣に聞いてやってみたいとも思う反面、就労支援施設で働いて、マイナスの家計がどれだけプラスになるんだろう…と頭にモヤを掛けながら聴いていました。
精神科病棟から脱出し、今後の身の振り方を考えながらも与えられた機会を前向きに、就労支援施設の見学会に参加しました。
そこはお洒落な京町家で、生真面目な職人さんがコツコツと働いているといったイメージでした。
正直、カルチャースクールじゃないけど、仲間に入れていただければ勉強になるなとも思いました。
家族の行事を優先すると、空いている日にフリーランスの仕事を入れるがスタンスで、何でもやりますからお仕事ありますか?と、長年派遣ナースの仕事をして参りました。
そうなると、ナースが定着しない不機嫌な職場も勿論あります。不機嫌な職場で、不平不満を漏らすナースも数多くいます。だからこそ、そんな環境でお客様が少しでも笑顔でいて下されば嬉しかったので、日々精進してきたのです。
「看護師さんはお給料いいんだから、ちゃんと働いてもらわないとね。こっちが済んだらあっちに行って手伝って。」
私も生身の人間ですから、心打たれて挫けてもう派遣ナースの仕事なんてしたくないと何度も何度も思いました。
どんなに教養があってエリートな道を進んだ人でも、障害を抱えてしまうとストレスから仕事が上手く行かなくなります。
そのストレスを他者に向ける人も多くいます。
どこの職場に行ってもストレスを抱えた人は居るもので、そんなスタッフと円滑に業務を遂行出来ればと思い、就労支援施設でカウンセラーとしてボランティアで勉強をさせていただきました。
大企業で活躍された方々が多く、何らかの障害から離職せざるを得なくなり、支援施設でご自身に応じた活動を生き生きとされていました。
十人十色人は皆違う、だから良い作品が出来る。
就労支援施設での学びは、いつの日か自分の夢に変わりました。
故郷で民泊事業をはじめて、引きこもりの若人が自然豊かな環境で、目的を持ち生活の楽しみを見出せたらいいなって、自分の理想が膨らんでいました。
あれよあれよと夢からかけ離れ、自分が障害の枠で支援施設を紹介される日を経験して、そう簡単には体験出来ないチャンスを与えられたのだと前向きに捉えています。
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