介護日誌

 在宅看護より

「お母さん、車海老の殻を剥いてくれる。」

「持っておいで。」

車椅子に乗った母は、何ひとつ障害を抱えでいるとは思えない返答だった。

末期癌で、骨盤内の臓器を摘出し、人工肛門と膀胱瘻造設、大腿骨骨頭壊死で歩く事が出来ない。

生まれて初めて障害者手帳を受給される時、「お母さんは、障害者になった。」と落ち込んでいた。

在宅介護で見る母は前向きで、私が子供の頃に見ていた気丈な母のままだった。

「ことえちゃん、海老の剥けたよ。何、作るの?背わた、ちゃんと取りよ。」

完成した海老マヨを食べて母は、「火を通しすぎやわ。」と言った。

在宅介護で生活する時間で、ガーデニングが好きだった母は、庭の花木の枝が伸び過ぎていたり、雑草がたくさん生えている事を気にしていた。

庭の手入れをすると、母は車椅子で外へ出て、何食わぬ顔で草むしりをしていた。

夢中に作業をしている母の疲労が心配で、声を掛け部屋に入ってもらった。

母の姿を見て、涙が出た。

「お母さん、私、国東で仕事出来たらいいんだけど。パパは東京にいるし、行ったり来たりになるから、国東で民泊の仕事が出来たらいいんだけど。観光課にも相談に行ってるんよ。Hも日本語に慣れたら、ポルトガル語も教えられたらいいなって言ってるんだけど。」

父も介護の手が必要だし、国際結婚した長男夫婦には荷が重いよなぁ…。国東は、誇れる豊かな環境だし、介護をしながら、家族の絆を崩さないライフスタイルを真剣に考えていた。

東京出稼ぎナースも悪くないけど、故郷の大分でも仕事が出来たら幸い。パパが定年したら大分で暮らせる様、知人にも仕事を紹介してもらっていた。

両親の介護中、自分の都合で雇って下さった、地元のオーナーさん達には感謝しています。

豊かな環境で、関東、関西エリアのお客様が、癒されたり、学ぶ機会が出来れば素敵だなと、ひとりで民泊事業計画をしていたのです。

今年の春から、二女は自然豊かな環境へ進学しました。

愛猫の大我と、2人(1人と1匹)暮らしです。

「ごはん、出来たよ。」

テーブル椅子に座って欲しそうに見ているのは、可愛い大我です。

〜琴絵メニュー〜

りゅうきゅう丼

トマトとネギのお味噌汁

長芋の梅肉のせ

チーズ厚揚げ

ほうれん草の柑橘系和え

椎茸のバター焼き

美味しいトマト





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