丸かじりりんごと冷たいおにぎりが美味しい訳
「 ♪ ゆきだるまつくろう
ドアをあけて いっしょにあそぼう
どうして でてこないの? ♪
ねぇねぇ、ことちゃん、来年も合宿来て〜。
一緒に登山しよう!」
具合が悪いわけではなく、楽しげに保健室に入ってきた少女は、小学5年生。
「アナ雪、ことちゃんも好きだよ。
♪ ありのままの 姿見せるのよ〜
ありのままの 自分になるの〜 ♪
来年も一緒に登山しようね。」
八ヶ岳スケッチラインを走行するスカイラインは、私を元気にしてくれた。
" 山頂で笑顔あふれる子供たち "
あの日の子供達の嬉しそうな顔がまた見たくて、ここに来たら会えるんじゃないか、そんな空想もいつか現実になるといいな…
「こんにちは。」
「こんにちは、みなさん何年生ですか?」
「5さい! 6さい! 年長さんです。」
「みんなかっこいいね!がんばってね。」
今日は、仕事ではなくてプライベート。
自分のペースで、山頂を目指す。
子供たちの声が後ろから聞こえてくる。
「あっきのこ。きのこはかせ〜。
あっトリカブト、ここにもトリカブト。
おはなはかせ〜。」
「いま、いきまーす。
まほうのかかったはっぱがダンスをおどってる。」
「みんな、少し休憩しよう。おやつの時間。
おーい、みんな景色がすごーい。向こうの山にぶつかってヤッホーが返って来るかな?」
そんな心暖まる会話を聞きながら、八ヶ岳に自生する植物を見つけては立ち止まり、草花に近寄っては写真に収め、ライブラリーに保存した。
予定の時間より贅沢に時間を儲け、イノセンスな大人だったかもしれない。
山頂で、幼児と赤ちゃんを抱っこして登山してきたファミリーに出会う。
登山道で、すれ違う登山者達に褒められ、登山を達成した男の子の表情は素敵だった。その家族は輝いて見えた。
「景色を見ながら、お弁当美味しいね。
つかれたからおにぎりおいしい、おかあさん。
本当、お腹、空いたよね。」
そんな素敵な家族に会え嬉しかったのと、うらやましかった。
下山途中で出会った老夫婦から声を掛けていただいた。
「あら、お一人?」
「はい。・・・・・・。」
何故、一人で登山なのか、どうして清里に来たのか?など、まるでご近所さんのように話しが弾んだ。再び足を運び始めようとすると、
「待って、りんごがある。山頂で食べようと思ってたの。長野のりんご、まだ早稲だけど…。いい、おばさんでしょ。山っていいわよね。気をつけて。」
「嬉しいです。私、長野のりんご、とっても好きなんです。ありがとうございます。では、失礼します。」
〜 白い花 決して忘れぬ 山母子 〜
登山の後の丸かじりりんごと、山頂で食べた冷たく固くなったおにぎりが、何よりも美味しかった思い出です。
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