何度も時計に目をやる。だから、見るとやる気になれる時計が好きだ。

個人情報がたくさん詰まったファイルを片手に、バイアル瓶が入ったトレイを重ね目的地へ。

挨拶を交わした拍子に、バランスを崩したトレイがバイアル瓶を床に転がしてしまった。

「あっ、大丈夫ですか?」

仕事の手をそのバイアル甁に伸ばし、私に笑顔で渡してくれた。

「ありがとうございます。わたし、おっちょこちょいナースですね・・・。」

私が新米ママナースの頃、当時の婦長さんが私の働く姿を見て、「あ〜さ〜く〜ら〜!せんぱ〜い。」でお馴染みのナースだと言いその場が和んでいたことを思い出す。

【ドラマ:ナースのお仕事】

キャリアの浅いオペナース時代、衛生材料や機材を床に落として上司によく叱られた。

当時は、引力を恨んだこともあったが全て自分の不注意である。

破棄するバイアル甁を床に落とすのとは訳が違い、滅菌された清潔な衛生材料や機材は床に落とすと使用できなくなる。また高価でデリケートな機材はすぐに破損してしまう。細心の注意を払っていても、数秒の気の緩みから起きてしまう事故がある。

多くの命と向き合いながら、ドキドキしながら業務に従事してきた。

自分が選んだ道の重みを感じている。

どんな時も、ひとりでは誰かを幸せにはできない。

1つの目標に向かって仲間達との絆があってこそ得られた学びなのだと、自分の描いた夢を誇りに思っている。

小学生の頃、幼なじみと交換日記を書いていた。

互いに"かんごふさんになろうね"と約束していた。

その幼なじみも現役ナースとして活躍している。

子供の頃に描いた自分像。

それが今の私だった。


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