ナースからクライアントになる

 2019年3月19日火曜日

ドクター「今日から入院して、投薬治療を始めます。」

クライアント「嫌です。帰ります。私は、統合失調症ではありません。」

私の知らないところで、私は、統合失調症という病名で入院する手配がされていた。

保護室で独り、この事態を受け入れることのできない自分との葛藤が続いた。

本来なら感謝してきた医療現場の人達が、別世界の人物に見え、どうやったらこの間違いに気付いてくれるのだろうかと、そればかりを考えていた。

 

3月20日水曜日

翌日、男性看護師が「雑誌でも見ますか」と声をかけてくれた。身の回りにあった物が全て没収され、ただただ天井を見つめていた時間から解放されることが嬉しかった。ボロボロに破れ小汚い雑誌もなんだか愛おしいく、何度も何度も同じページをめくった。

今日もお風呂に入れないんだよな、着替えもできていなくて情けない。

「看護師さん、体拭きたいんですけどおしぼりいただけますか。」廊下から丸見えの部屋で悔しさと情けなさで、涙で顔を洗ったようだった。

お茶だけは充分に配給してくださったことをよく覚えている。補茶用のカップや3度の食事用の箸も病院貸し出しの物で、私は、本当に独りぼっちになったんだと、どんどん負のスパイラルに落ちていった。

担当医が、保護室へ来訪し「今夜から、内服なしで様子を見させてください。」と言って部屋から出て行った。

ドクターは間違いに気づいてくれたと安堵した。


つづく

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